【クレデンザ1926×78rpmの邂逅】 C シューリヒトベルリン市立管弦楽団 ブルックナー『交響曲第9番 ニ短調』(1943rec )78rpm
ブルックナーの交響曲はとにかく長いし、そもそもブルックナーの本意とは程遠い「改訂版」で演奏されることがまかり通っていた時代が故、78rpm時代にレコーディングされた交響曲全曲は数少ない。
そんな中、複数曲を録音している指揮者がカール・ベーム、オイゲン・ヨッフム、そしてカール・シューリヒトだ。
今回はシューリヒトがベルリン市立管弦楽団(ベルリン・ドイツ・オペラのオーケストラ)を指揮して、1943年に録音したドイツ・グラモフォンの78rpm全15面をクレデンザ蓄音機で。
1943年2月、スターリングラード攻防戦でドイツ軍はソビエト軍に敗北。このあたりからヨーロッパ戦線の潮目は変わり、連合国側有利の方向に加速し始める。
首都ベルリンの当時は如何に・・・。
シューリヒトのブルックナー第9番と言えば、1961年11月にウィーン・フィルとレコーディングした演奏が名演の誉れ高いが、この78rpmも基本的には同じ解釈による、シューリヒトならではのスッキリとした造形美とロマンを感じさせるもの。
ここで聴かれる音楽と戦況との関係については如何様にも考えられる。
全く関係ないのか?
それともこのブルックナーを演奏すること、聴くことで人の心に何かが芽生えたり、自分たちが置かれた状況に向き合うための、何かの手立てになったのか?
いずれにしても、今聴いても古さを感じさない音楽だ。